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プラチナの布  序章14

作戦司令室へ入ると、ガラス板とアルミの支柱だけで組まれた簡素なデスクで、大佐の

私設秘書である女性が、素早い手つきでノートパソコンのキーボードを叩いていた。

大佐は奥の部屋にいるらしく、このコンクリートに包まれた無機質な空間には、彼女のリズミカルな

ブラインドタッチの音だけが響いている。

彼女の名前はエルレーナ・タケダ・スティングレイ。日本と北欧とのハーフである。

いつも細めのスタイリッシュな眼鏡と、胸元の大きく開いた濃紺のスーツを着用し、長めのブロンドを

後ろで清楚にまとめる彼女のルックスはハリウッド女優さながらだが、なぜかすべての隊員からは

【トンカツ大臣】と呼ばれていた。

彼女は自分のルックスを少々ハナにかけている所もあり、気難しい一面を持っていた。少しでも気に

入らない事があれば、某質問サイトに ≪隣の保育園がお昼寝の時間に私がスリップノットを全開で

聴いていただけで、園長さんが『もう少し音を小さくして頂けないでしょうか?』と怒鳴り込んで来たん

ですッ!これっておかしくないですかッ!?≫ 等の悪質な質問を投稿するのだ。

蛇井は声を掛けるでもなく、彼女を観察する様に眺めていた。

やがて、蛇井に気付いた彼女はキーボードの手を止め、眉と口元だけで笑みを作り、無言で

『何か?』と訊ねた。

『先日のペンペン君の制裁に対して大佐の考…』

蛇井が最後まで話し終えるのを待つ事なく彼女は、デスクの上の内線電話を持ち上げた。

『北半球最強のフニャ○ン野郎がコチラに。』

彼女は口も悪い。  

『どうぞ。』 

奥へと通された蛇井は、彼女が操作していたパソコンのモニターに目をやった。

彼女の打つ文字は相変わらず【j・ウ」:アエイg」@ウイア:mpymペ;taocwt:uiosup[]w8rx。dj】

である。

つまり、打てないのだ。 つまり何時間も、ただ【カタカタ】とやっているだけなのだ。

ニャンコ博士の製造する、コクピットの意味のない液晶モニターといい、この秘書といい、ここの組織の

連中はイメージ先行型のルックス派が多すぎるのだ。

やり切れぬ思いに包まれた蛇井は、静かに大佐のいる部屋のドアを開けた。






つづく。

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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

蛇井

Author:蛇井
1971年生誕の♂

【尊敬する著名人】
中島みゆき
ヴァンダレイ・シウバ

【愛用ギター】
Ibanez RG7EXFX2 chair仕様

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