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BOOK 31

彼らの流儀 (新潮文庫)彼らの流儀 (新潮文庫)
(1996/03)
沢木 耕太郎

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20代のはじめにイキナリ『本を読もう』という衝動にかられ、書店で手にしたのが

沢木耕太郎氏の「チェーンスモーキング」でした。

同氏の事も知らなければ本の内容も知らずに、ただタイトルの響きだけで購入した訳ですが、

何気に選んだこの一冊は僕に≪読書の面白さ≫そして『文章を書いてみたい』

思わせてくれた運命の本なのでございます。

何事も≪初めに手にするモノ≫って大切ですね。

本日の「彼らの流儀」も前述の「チェーンスモーキング」と同じくエッセイ集なのですが

数あるストーリーの中で一番印象に残っているお話を1つご紹介したいと思います。









著者である沢木氏がアメリカでの仕事を終えた後、ニューヨーク在住の日本人探偵ハッシーと

おち合います。

ニューヨークの危険地帯をハッシーの車で周って見るというかねてからの約束があったそうなの

ですが、ある地点にさしかかった所でハッシーは『昔ここに道場があったんだ』

きり出します。

とある事情でアメリカで足止めを強いられたハッシーは日本で身につけた空手でもって生計を

立てます。

英語力の乏しい彼は孤立する訳ですが、その孤独を紛らわしたいという理由だけで美術系の

学校に通うことを思いつきます。 要は≪友達探し≫ですね。

その学校でハッシーは学生がデッサンをする為のヌードモデルと知り合います。

彼女はデッサンモデルの最中に突然ぶっ倒れて学生が驚いて駆け寄るとヒョイと起き上がり

ケタケタ笑い出す、といった様な奇行が目立つ女性だったそうですが、ささいな事でハッシーと

親しくなり、いつしか一緒にコーヒーを飲みに行くまでの間柄になったそうです。

モデルの日給で歌と踊りのレッスンを受けているという彼女はハッシーにいつも

『いつの日か私はレコードを出して映画に出演する』という夢を語って

いたそうです。

やがて彼女はモデルを辞めて学校にも来なくなったのですが、その後ハッシーはトンデモナイ

所で彼女と再会します。 街中ではありません、テレビです。

彼女はテレビで「ライク・ア・バージン」を歌う存在になっていたそうです。






『それホントの話?』と沢木氏が問いますがハッシーはハンドルを握ったままの姿勢で

『本当だよ』とサラリと言ってのけます。

別に珍しくもない、という態度です。 

≪アメリカンドリーム≫なる言葉がありますが、アメリカでは実際にその様な

≪底辺から頂点へ≫というドリームが普通に存在する事を沢木氏は

ハッシーのアッサリしたリアクションから実感します。

沢木氏とハッシーが乗った車の横を通り過ぎたホームレス風の女性がブロンドの髪だったが為に

助手席の沢木氏は

『あの女性も明日はマドンナになるかも知れないんだね』という様な

意味合いを告げるとハッシーは驚愕の言葉を口にして章を締めくくります↓










『昔の彼女にはどこにもブロンドの毛なんてなかったよ』

あらヤダ!!  ドリームですね。








≪ハッシー≫の本名は橋本茂男さんというそうです。

≪ハシモトだからハッシー≫なんと安直と思われるかも知れません。

もちろんその意味もある様ですが、真の由来は≪ハッシュ≫から来ているようです。  日本では

相手に静寂を求める際に『シーッ!』とやりますが、アチラでは『ハッシュッ!』

やるそうです。

≪静かに何かをやり遂げる男≫ 『アイツが静かにしている時は気をつけろ』

ニューヨーク市警察の警官だった時に仲間からつけられたアダ名との事です。









さて、仮にこの僕がハッシーと同じ経験をしていたとしたらどうでしょう?

ハッシュ性のカケラもない蛇井青年ならきっと千歩、万歩譲っても≪ほほえみ≫とは

言いがたいニヤケ面で『あんなぁ~、マドンナってなぁ~』とやってしまう事は

間違いありません。

『訊かれたら答える』のが男です。 自分からペラペラ喋ってはイケマセン。

どなたか僕に何か訊いて下さい。 ≪カマキリの卵と間違えて犬のウ〇コを虫カゴに入れた話≫

とかをお話させて頂きます。
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プロフィール

蛇井

Author:蛇井
1971年生誕の♂

【尊敬する著名人】
中島みゆき
ヴァンダレイ・シウバ

【愛用ギター】
Ibanez RG7EXFX2 chair仕様

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