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BOOK30

李歐 (講談社文庫)李歐 (講談社文庫)
(1999/02/08)
高村 薫

商品詳細を見る

山崎豊子さん、住井すえさん、サガンさんと、僕が今まで読んだ女性作家はこの

お三方のみと極めて少ないのですが、この「李歐」を書かれた高村薫さんでもって四例目と

なります。

高村薫という作家の名前は作品を読む前から存じておりましたが、≪薫≫という名は男でもまれに

存在する事からまさか女性とは考えもしませんでした。

そしてそれはこの「李歐」を読み進むにつれ『コレ本当に女性作家か?』と、ますます

驚きが増したのです。

差別的表現になるやも知れませんが、女性の書く文章にしては力強すぎるのです。

物語の中心人物である吉田一彰が幼少期の頃から関わりをもつ≪守山工場≫の作業風景

などは感服しました。

守山工場は金属加工業なのですが、僕が似たような仕事に携わっているせいか、その見事な

までの描写は金属業独特の防錆油の匂いまでが伝わってくる程です。

そして何より強調したいのは作品を通じて感じる≪音≫ これに尽きます。

僕が読んで『良い!』と感じる作品には例外なくこの≪音≫がいつも聞こえるのです。

もちろんダイレクトに「ガッタンゴットン」と書かれているワケではありません。

以前にも少々触れましたが、小説において僕が初めて≪音≫を感じたのは中学生の頃に読んだ

松山善三さんの「厚田村」という物語です。







北海道極寒の地であるニシン漁が盛んな村を中心とした物語なのですが、作詩家の

なかにし礼さんの自伝や、同氏の手がけられた「♪石狩挽歌」をご存知の方は

一昔前のこの「ニシン漁」というモノがどの様な感じかはご理解頂けると思います。

ニシンというヤツは来ない時は全く来ずに村人たちは利益を得れず餓死寸前なのですが、

イザそのニシンが来たとなるとバカが付く程浜に押し寄せる為に昼夜を問わず村は天地を引っくり

返したような大騒ぎです。

コチラとしてもニシンが来るのを心待ちにして読んでいますので、その時の村人達のお祭り騒ぎと

きたら圧巻でした。

文章を通じて漁にたずさわる者達の疲労感を打ち消す程の歓喜が伝わってきた程です。

少々横道に反れましたが、この「李歐」にも全篇を通じて≪音≫を感じました。






タイトルの「李歐」ですが、これは中国人青年の名前です。

正しくは「名前の1つ」と表現しなくてはならないかもしれません。

この青年、ある時は一介の殺し屋、ある時は武装勢力のリーダー、そしてまたある時は西側をも

脅かす程にアジア経済を左右するまでの投資家です。

青年と申しました通り若く、そして恐ろしいまでの魅力を兼ね揃えております。

作中にはその容姿が所々に形容されているのですが、僕の文章力では神と悪魔が同時に

乗り移ったようなその李歐の魅力を正確にお伝えする事は残念ながら出来ません。

ここはビジュアルで表したいと思います。李歐です↓












riou.jpg
(limeさん了承済)

僕にこの「李歐」を読む機会を与えてくださった小説ブログ「DOOR」

limeさんが描かれた李歐のイメージです。

本当にこんな感じです。 ミもフタもない言い方になりますが読めば分かります。

すでにこの小説をご存知の方にはどのように映るか知りませんが、少なくとも僕にはこの姿で

李歐は現れました。

これからこの作品を読もうと思われている方はこのイメージを頭におかれて読まれますと

より一層作品に没頭できるはずです。

けど一応は読後のレビュー記事ですのでビジュアルばかりに頼らず、僕なりにこの李歐の魅力が

巧みに表現されていると思った箇所をご紹介したいと思います。







主人公である2人、吉田一彰と李歐が守山工場で再会した場面です。

李歐が一彰を確認するやいなや、ろくな挨拶を交わす事もなく一彰の顎を無造作に掴み、

ジーパンのポケットから取り出した口紅を一彰の唇に塗るのです。

「男が男に」です。 何故かその行為が終わるまで一彰は微動だにしません。

口紅を塗り終えた李歐は一彰を吟味するのですが、自分が思った程の効果が得られなかった

のか深く溜め息をつくのです。

勝手にやっておきながら勝手に自己解決です。 しかも男に口紅、一彰をまるでマネキンか

何かの様に扱うという無礼な行為です。

現実でこの様な振る舞いを無条件に受け入れてしまうには2つのケースがあると思います。

1つは相手が暴力を背景とした高圧的な態度の場合、もう1つは相手が有無を言わさぬ

圧倒的存在の場合です。

このシーンは間違いなく後者です。

作中で李歐は2度ほど自分への裏切り行為をした者に残虐な刑を執行するのですが、それを

サラリとやってのける李歐には僕も圧倒されました。





さて、レビューですのである程度はストーリーをご紹介しなければならないのですが…、

…何を書けばよいのでしょう…?  大まかに言えば一彰が李歐と交わした

≪約束を果たす≫というストーリーなのです。

そしてコレは書いてよいのか?大丈夫か…?、いや、書かせて下さい!
(たしかlimeさんも同作か他の作品で同じ様な葛藤をされていた気が…)

終盤の『ヘイ……!』 『やぁ』です。

まさにココ!です。

文庫本としては少々厚めのサイズなのですが、この≪2言≫の為に≪今まで≫があったと

言っても過言ではありません。 








一彰と李歐が約束を交わし別れてから数年、一彰の気がかりをよそに各国のオモテ、ウラの

組織を手玉に取る李歐の痛快さもこの作品の魅力の1つです。

しかし全然レビューになっていませんね(^-^;) まぁ、とにかく興味のある方はご一読下さい。

『つまらなかった』とは言わさない自信があります。

この「李歐」の表紙には桜が表されています。 そしてlimeさんのイラストにも桜が描かれて

おります。 

僕は読み終えるまでただのピンク色の表紙という認識でした(≧▽≦)

この≪桜≫というのもこの作品には重要な部分です。

桜の季節になる度に僕はこの作品を思い出す事となるでしょう。







最後にもう一つ印象に残った箇所、守山工場での≪おでんパーティー≫のシーンです。

一彰は咲子を連れ出し、宴会の席から離れた人目につかぬ所で咲子を抱き寄せます。

『カズさん、乱暴やわ……』

ドキドキしました!( ●≧艸≦)
(スミマセン、最後の最後でやってしまいました…)

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さっきアイスクリーム食べたのに、またお腹が空いてきたからイワシのかば焼きの缶詰でも開けようかしらと思っていたところに、
いやまて、先に皆様のブログをぐるっとひとめぐりしてこようとこちらさまにお邪魔し、
かば焼きを食べるのを後にしてよかったと思いました。
この桜を背景にたたずむ青年に、イワシの缶詰は似合わないもの。

音を感じる御本ですか、面白いです。文字で書かれているだけなのに、
音が聞こえたり、あるいは匂いが漂ったり。五感に働きかける描写って、やっぱりプロですよね。

男が男に口紅を塗る・・ややや。頬にナルトを描いたとかそういう使い方でないところが、お二人の仲って一体・・という興味をかきたててやみません。
桜の季節にぴったりな一冊ですね。また春に読んでみたいと思いました。

やった!

ささめさんも、ぜひ、読んでみてください!
と、ついつい言いたくなりました(*^_^*)

いやあ~、こんなにブックレビューにドキドキしたことはありませんね。
憧れの人に再び会ったような。
あの「李歐」を、この「蛇井さん」がレビュー!
もう、大興奮です。

この本の、「男性」によるレビューって、すごく興味深いんです。
さあ、この、主人公二人の物語に情熱を感じてくれるのか。理解してもらえるのか。

でも、そんなの取り越し苦労でしたね。
この高村先生の世界に取りこまれたら、そんなの愚問でした。

ね?音を感じますよね。金属の、甲高い、硬質な。
そして匂い。さらに触感。
鋼の硬質なひんやりとした質感。
ああ、旋盤で削りたい。その銃の重さを確かめたい。
・・・と、危ない方向へ・笑

そして、あの「口紅」のシーンを書いてくださって感激です。
やはり、あそこは『鮮やか』ですよね。なんでしょうね、あのつややかさ。
男女のそれとは別の、あやしげな魅惑・・・。

ごめんなさい。蛇井さんのレビューより長くなりそうなので、退散します。笑

でも、そう!
まさに『ヘイ……!』 『やぁ』です。
そして桜です。

いやあ~~。楽しいレビューでした。

しかも、おでんパーティのそのシーンでオチをつけるとは・・・!


『蛇井さん、乱暴やわ……』

ささめ様へ 

僕も特売品の「サバ缶」を常備しております。
安価かつ高タンパク、実に重宝しておりますが、毎日となると
チョイとキツイです。
しかしながらこの李歐、見た目の美しさとはウラハラに、イワシ缶
サバ缶というどのように質素な物でもクレーム等はつけないと思います。
実際、李歐は守山工場でごくありふれた食事を口にしております。
この辺りが李歐の素晴らしさです。 才能あふれるにも関わらず偉ぶらない、
僕も見習いたいモノです。

久しぶりにページを捲っている感覚がない本と出合いました。
ささめさんも是非読んでみて下さい!
きっと気に入って頂けるはずです。

lime様へ

いや~、思い知らされました。
正直なところ、読む前は『女性でその様なストーリー書いても限界
あるんとちゃうの~?』なんて思っていたのですが、完全に叩きのめされ
ましたよ。 圧巻です。
≪素人とは徹底的にレベルが違う!≫やはりプロの方にはこうあって
頂きたいですね。 と、思っていつつも『何故こんなのが書ける!?』と
身の程知らずの悔しさがこみ上げてきます。
いや、本当に素晴らしい作品でした。

改めて自分のレビューを読みますと『あ、ココも書けば良かった!』という
所をいくつか思いつきました。 でもソレを書き出すとキリないですね。  
「ナイトゲート」の最後、『こんなところまで来てしもうたんか、君は……』
胸ぐらつかまれて完全に引き込まれました。
あと千枚漬。 『あぁ、もう絶対アカンわ…』と思いましたよ。

最後の最後に妙なオチを付けてしまいました(^-^;)
「乱暴やわ……」良いです!こんな時の関西弁はグッドです!
是非とも秋沙さんにも言っていただきましょう。

おお!ついに蛇井さんもレビューを!!

うれしいですねぇlimeさん。男性にこの本のレビューを書いていただけるとは。

男性が読んでも、あの口紅のシーンは印象に残るもんなんですねぇ。

ほんと、高村先生の小説は、素人とは圧倒的な違いを見せてくれます。
どんだけ取材を重ねたら、こんなに緻密な描写が書けるんだろう。。。と感服いたします。

今また、limeさんに追いつこうと、「神の火」を読んでおります。
10年以上前に一度読んだ本でありながら、自分も小説書きの真似事をするようになってから読むと、
以前とは違った感動があるってもんです。
ほとんど知らない大阪の空気を、このお話もまた感じさせてくれるので、実際に大阪をよく知っている人が読んだらもっとリアルなんでしょうねぇ。


それにしても、いきなり自分の名前がコメント欄に出てるとびっくりしますね。
しかも、私にもそのセリフを言えと・・?(^^;

いやや、そんなん。優しいのがええわ、私・・・。

秋沙様へ

あの口紅のシーンは短くて直接ストーリーとは関係が無い箇所ですが
李歐という青年がどの様な人物かを読者に知らしめる素晴らしいシーンだと
思います。
≪その様な事をされても許される男≫僕なら、目がこんなんで、鼻がこんな
形で、てな感じにバタバタと書き連ねてしまう事でしょう。
そういった意味でもたいへん勉強になりました。

そして守山工場、おっしゃる通り作業の細部まで実に詳しく書かれております。
まさかご自身がその様な仕事に携わっていたとは考えにくいですし、いったい
どれ程までの取材をされたのでしょうか? このあたりも圧巻です。

これはもう「わが手に拳銃を」も読まなければなりませんね。
読まなければいけない本が山積みでございます。

リクエストにお応え頂きありがとうございます!
『優しいのがええわ、私……』 くぅ~~~ッ!!(←川平慈英ふうに)

お!
「わが手に拳銃を」も、読みたいですか!

これを読んだら、蛇井さん、どんな感覚を持たれるでしょう。
あのね、すごく似てるのに、全然違うんです!
狐につままれたように。

あちらは、文句なく躍動感が凄いです。
ストレートで読みやすく、感情も分かりやすい。
「李歐」のほうを圧倒的に支持してるのは女性で、「わが手に・・・」は男性が多いような気がします。

わたしは、「李歐」以上の作品はない!と思っていたのに、
「わが手に拳銃を」で・・・・骨抜きにされました。(≧∇≦)
最後の数行はもう、溜め息。
蛇井さんは、どうでしょう。
とにかく、「李歐」の遺伝子組み換え番です。

いや、李歐のほうが、あとですが・笑

lime様へ

申し遅れました、李歐のイラスト提供ありがとうございました!!
記事アップ初日で≪拍手数4≫、最近の重音椅子にしては快挙で
ございます。
これは李歐のイラストが効きましたねぇ~(≧▽≦)
もし興味をもって読まれる方がいるならば、もうバッチリこの李歐の
イメージが脳裏にすり込まれている事と思います。

いや、これはもう「わが手に拳銃を」も読まなければダメでしょ!
しかし友人から上下巻モノのノンフィクションを去年から借りっぱなし
なんです。
まずコチラを片付けてから取り掛かりたいと思います。

実は密かに、私もあのシーンは大好きなんですよ(笑)

あれって、標準語だとちっとも色っぽくないんですよねぇ。

「カズさん、乱暴だわ・・・」

「いやよ、そんなの。優しいのがいいわ、私・・・」

・・・・・ただの官能エロ小説になってしまふ(-"-;)

ん♪「音」を感じる とても蛇井さんらしい表現で
読んでみたくなりますねぇ♪
私は どちらかというと 「色」とか「におい」を感じる方なので その重なり具合も ちょと気になるとこです^^

そそそ 話は違うのですが~
TSUTAちゃんに行く機会がないがないやんかいさ;;の中~
ぬあんと?あるじゃないのYOUちゃんで「パリ・テキサス」ヽ(*'0'*)ツ 約10分の14分割で ええ 字幕無しですから ちょいまて 今なんて??(._.?) めちゃめちゃ時間かかりますので^^; やっぱ TSUTAYA行きますけど^^;クーダ兄さんの「Dark Was The Night」は聴けますよ うん (*TーT)b

秋沙様へ

外国にもその様な例はあったりするのでしょうか?
たとえばアメリカで≪西部訛りは官能的≫とか。

友人の勧めで官能小説なるモノを読んだ事があるのですが、
どうもイマイチでした。
たしかにあの場合、女性の関西弁はグッドですが男はダメです。
『別にええやんけ~』では興ざめです。
わがままを言わせてもらえれば≪男→標準語≫≪女性→関西弁≫
で演じて頂きたいですね。

maso♪様へ

≪漫画をアニメ化≫子供の頃はずいぶんとときめいたモノですが
イザそれを観ますと登場人物の≪声≫に『なんじゃコリャ!』と
ズッコケる事がよくありましたよ。
漫画を読んでいた頃に脳内で作った声があまりにも理想的だった
のでしょうね。 

あら!Youちゃんに「パリテキサス」ありましたか!!
maso♪さんに聴いてもらおうと以前探しまくった時は素人画像しかなかった
んですが、まさか映画があるとは!
けど字幕なし!しかしコメントを拝見しますとmaso♪さんはある程度言葉が
理解できるご様子。 羨ましいです!!
是非とも「パリテキサス」ご覧下さい!
maso♪さんなら絶対の絶対(←女の子っぽい)気に入るハズですよ!

しつこくすみません。

そうそう、終盤の「ヘイ・・・!」「やぁ」は、本当にこの物語の全てをあらわしていると言えるほどですね。


ここを読んで、思い出した小説があるんですよ。

まったく脈略がないですが、夏目漱石の「こころ」です。

これ、うちのダンナが言っていたんですが、

主人公が初めて「先生」に出会う場面です。

鎌倉の海でめちゃくちゃな泳ぎをしながら、主人公が「愉快ですね」と大きな声で話しかける。
ここから二人は懇意になるんですが、ダンナ曰く「この『愉快ですね』が素晴らしい」とのこと(笑)

わたしも、また来ました。

秋沙さんの旦那さんの言うこと、わかるなー。
「こころ」は読んだこと無いんですが、出会いのシーンって、大事ですよね。

李歐と一彰の、ナイトゲートでの出会いも、何気ないのに、「ただ者じゃない」感じがびんびんしました。
あの、眼球の動きが、もう、映像で見える!残像を残しながら、すーっと動く眼。
ああ、ドキドキする。

間違っても、街角で偶然主人公どうしがぶつかる・・・なんて安易な出会いは論外です!
・・・すいません。「RIKU」で、やっちゃいました(T_T)

追記。
≪男→標準語≫≪女性→関西弁≫ に、一票。
「ええやんけ〜、なあ、なあ」はもう、ダメです・・・。笑

秋沙様へ

李歐と一彰の「ヘイ・・・!」「やぁ」
あのような事を言える出会いを実際にしてみたいものですが
僕の薄っぺらな人生では望めそうにありません。

僕が良い出会いをしたいというのもそうですが、どうせなら
『この人に出会えて良かった!』と言われる立場にもなってみたい
ですね。
でもコチラの方がさらに望み薄です。

lime様へ

今でも中学1年の頃から付き合いのある友人が1人いるのですが
考えてみれば親しくなったキッカケは≪席が隣りだった≫という
極めてシンプルな出会い方です。
ぶつかって出会う、も全然OKだと思いますよ。

ナゼが長年愛用している品、というのも同じく出会いはシンプルでは
ないでしょうか。
僕の場合「前から欲しかった!」という物はイザ手に入れたら異常なまでに
執着心が薄れるという事が多々あります。
≪出会い≫ってスゴイですね。 何気ない日常に見落としている貴重な
出会いがあるやも知れません。
プロフィール

蛇井

Author:蛇井
1971年生誕の♂

【尊敬する著名人】
中島みゆき
ヴァンダレイ・シウバ

【愛用ギター】
Ibanez RG7EXFX2 chair仕様

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